【展示会レポート】精密加工が拓くアナログの可能性。ウッド・マイスターの「無垢削り出し」技術に学ぶ
2025年12月18日にビックサイトで行われた中小企業 新ものづくり・新サービス展に行ってきました。非常に快晴。となりではセミコン・ジャパンがやっていましたが、そちらではなくCYのミッションである新しい技術の探索に参りました。

東ホールの一番奥ということで、人もまばら

そんな展示会で、素材の特性と精密加工技術を極限まで活かした、非常に興味深いブースに立ち寄りました。今回ご紹介したいのは、株式会社ウッド・マイスター(https://wood-meisters.com/)による木製無電源スピーカー「MUKUNE(ムクネ)」です。

■ 技術の核心:5軸NCルーターによる3D精密加工
ブースでまず目を引いたのは、その滑らかで有機的な曲線です。このスピーカーは、単なる「木の箱」ではありません。
- 世界初の試み: 5軸NCルーターを用いた3D木工加工により、無垢材から一切の継ぎ目なく削り出されています。
- 音響設計: 内部の共鳴路(サウンドパス)は、緻密な計算に基づいた形状となっており、これも高度な削り出し技術があってこそ実現したものです。
デジタル技術(3Dデータ)と、アナログ素材(木材)を高い次元で融合させる同社の姿勢は、我々IT・セキュリティ業界における「緻密な設計」にも通ずるものがあります。

■ 開発の背景:愛娘へのプレゼントから始まったイノベーション
展示パネルには、この製品の心温まる誕生秘話が記されていました。
- 原点: 吹奏楽を嗜む愛娘へのプレゼントとして、社員がプロトタイプを作成したのが始まり。
- 飽くなき追求: 試行錯誤の末、上下2部材の構成から「無垢材からの削り出し」へと進化。
- 実証された性能: 幾度もの音響テストを経て、特定の周波数帯では20dB以上、平均でも10dB以上の増幅効果を達成しています。
■ プロダクトの多様性:木材が持つ独自の「個性」
ブースには、多種多様な樹種(ウォルナット、カエデ、ブビンガなど)で製作されたスピーカーが並んでいました。
木材の種類によって密度や硬度が異なるため、それぞれが独自の音色を奏でます。また、同社の高い加工技術はスピーカーに留まらず、木製のギターなどの楽器製作にも応用されており、技術の汎用性の高さが伺えました。

■ CY社長による技術探索からの視点
一見、ハイテクとは対極にある「木工」の世界ですが、そこには「精密なデータ制御」「素材特性の徹底した理解」「反復テストによる性能向上」という、エンジニアリングの本質が詰まっていました。無電源で音を増幅させるという物理的なアプローチは、エネルギー効率やサステナビリティの観点からも、デジタル一辺倒になりがちな我々の視点に新しい刺激を与えてくれました。

